いやされーの「いやし噺」
このコーナーでは、健康や心について、
みなさんの元気や癒しにつながる話を、
店長たかあきがチョイスしてお届けします。
第十七回 │ ありがとう、をあなたのために
最近、感謝をすることはありましたか? 私は独立し、経営者となってから、いかに今まで自分が安定した身分にいたか、いろいろな人にお世話になってきたかをようやく自覚することができて(苦笑)、感謝をすることがとても多くなりました。
この「感謝」はもちろん、自然と滲み出た感情であって、作為的であってはもはやそれは感謝ではないのですが、他の人に働く感情であるはずの感謝が、実は自分にも非常に良い影響をもたらすのです。
心理学者エモンズとマクロフの研究によれば、あるグループには感謝をしたことを毎日5つ、別のグループにはいらいらしたことを毎日5つ、さらに他のグループには印象に残ったことを毎日5つ、それぞれ9週間続けて書かせたところ、感謝について書いたグループは他の2グループと比べて、これまでのことを幸福に感じ、また未来も幸福であると信じている人が明らかに多くなりました。また健康の不調を訴える人も著しく少なくなりました(※1)。感謝をし続けると、なんと心も身体も健康になってしまうのです。
自分には感謝をするような経験がないから……という方もいらっしゃるかもしれません。しかし、そうではないのです。心理学者ワトキンスらの研究によれば、感謝を多くする人は客観的にポジティブな経験を多くしているのではなく、自らの経験を主観的にポジティブにとらえる傾向にある、ということです(※1)。
つまり、感謝をするかしないかは、その人の心次第でどうにでもなるのです。
また、前述のエモンズとマクロフの研究では、感謝をよくする人は気前が良かったり、人を助けたりする行動が多くなったりするそうです(※1)。感謝をすることで、ついに他の人にもよい影響が出てくるのですね。
自分の幸福感を高め、身体を健康にし、ついには人助けをするようになるという、いいことしかない連鎖の力を持つ「感謝」。みなさまもぜひ、日々の生活から感謝をする瞬間を見つけてみてはいかがでしょうか。
【参考文献】
※1「感謝と幸福感 ――近年のポジティブ心理学の研究から――」
望月 文明 『モラロジー研究 No.68,2011』