いやされーの「いやし言葉」

このコーナーでは先人･偉人たちの過去の名言を振り返り、今を
生きるみなさまの元気と癒しの素にしていただこうと思います。
いやされーならではの解説も付けてお贈りいたします！

井上貴元店長
第35回┃レナ・ホーン『行き詰まるのは重荷を背負っているからではないわ。背負い方がいけないだけなの。』いやされー解説：アメリカの黒人ジャズ歌手、レナ・ホーンの言葉です。自身も人種差別で様々な不当な弾圧を受けたようですが、こんな言葉を遺してくれています。20世紀前半から半ばのアメリカの人種差別の時代に活躍し、その後グラミー賞まで受賞するほどに上り詰めた彼女だからこその重みがありますね。人生は様々な「偶然」によって、重荷を背負わされることがままあります。「自分が何をしたんだ」と嘆く方も多いでしょう。それほどに、人生の重荷とは理不尽なものです。しかし、その重荷があること自体が問題ではないと、彼女は説いてくれています。問題は背負い方なのです。例えばその重荷を全て無理をして一人で背負いこもうとしてませんか。重荷は自分一人では荷がかち過ぎていたら、誰かと一緒に背負えばいいのです。また、周りに見せないように我慢していたら、重荷の背負い方はかなり無理な体勢となっているでしょう。理不尽な「重荷」だからこそ、無理のない背負い方を、周りも巻き込んで試してみてよいと思いますよ。
第34回┃タデウス・ゴラス『自分の内なるものも外なるものも、見ているものを変える必要はない。ただ見方を変えればいいのだ。』いやされー解説：『なまけもののさとり方』の著者、タデウス・ゴラスの言葉は、人生のひとつの真理を表していると思います。自分の内側も外側も、そしてそこにあるものも、自分ひとりで変えることのできるものはそれほど多くはありません。他人との関わりの中で出来上がったものがほとんどなのですから。しかし、悲しい別れも、見方を変えれば次への出発となります。見方を変えるだけでネガティブなものはポジティブなものに姿を変えます。なぜならその物事に「ネガティブ」「ポジティブ」という性質を与えるのは、それを見ている人間なのですから。
第33回┃セネカ『およそ惨めなものは、将来のことを不安に思って、不幸にならない前に不幸になっている心です。』いやされー解説：セネカは、１世紀に活躍したローマ帝国の政治家であり哲学者であり、作家です。後に暴君で知られる皇帝ネロの最初の治世「最もよき５年間」のバックボーンでもあったと言われています。人生というのは不思議なもので、2,000年後の科学が発達した現在でも、思うこと、感じることはあまり変わらないようです。真面目で慎重な方ほど、少し先の未来を心配して、その心配自体に捕らわれ、ストレスと緊張にさらされてしまいます。その真面目さ、慎重さは、きっと人生の役には立っていますし、周りの方々のお役にも立っていますが、こと将来の心配に関しては、ほおり投げてしまったほうが返って良いこともあるようですよ。
第32回┃アルバート・アインシュタイン〔その２〕『どうして自分を責めるんですか？　他人がちゃんと必要な時に責めてくれるんだからいいじゃないですか。』いやされー解説：第14回に続き、アルバート・アインシュタイン先生にご登場願いました。人はとかく、自分を責めてしまいがち。特に心優しく、真面目で、過去に心の傷を負っている人ほどその傾向があるようです。自分を責めるというのは、もちろん時に自分を成長させてくれることもありますが、自分の限界や自分の能力を決めてしまい、成長や世界の広がりを止めてしまうことにもなりかねません。目に見える失敗があれば、先輩や上司、親の叱責は当然あるわけですから、自分ぐらいはせめて、自分を励まし、ミスをしても歩みを前に進めた方が建設的なのかもしれませんね。
第31回┃ゲーテ〔その２〕『涙とともにパンを食べたものでなければ、人生の味は分からない。』いやされー解説：第15回に続き、詩人・作家ゲーテの言葉です。詩的な表現の素晴らしさに隠されている人生の真実に引かれてしまいました。人生はどうしたって楽だけではすまされない。それを噛みしめ、自分の血肉とするかは自身の選択です。ときには悲しみが大きすぎて、逃げなくては持たないこともあります。それも当然必要なことなんです。しかし、それを飲み込んだとき……すべての意味を知ることになるでしょう。
第30回┃太宰治『一日一日を、たっぷりと生きて行くより他は無い。明日のことを思い煩うな。明日は明日みずから思い煩わん。きょう一日を、よろこび、努め、人には優しくして暮したい。』いやされー解説：生きていくというのは本当に難しいです。今日いいことがあっても明日嫌なことがあるかもしれないし、どんなに行き当たりばったりに生きても備えてみても、いいときはいいし悪いときは悪い。アリもキリギリスも、総じて生きていくのは難しいんです。ならばどうするか。１日１日を精一杯生きるしかない。そういうことなのでしょう。ただ、人は一人では生きられないですから、優しさと感謝は忘れず。そういうことなのでしょう。
第29回┃スティーブ・ジョブス『知ってると思いますが、私たちは自分たちの食べる食べ物のほとんどを作ってはいません。私たちは他人の作った服を着て、他人のつくった言葉をしゃべり、他人が創造した数学を使っています。何が言いたいかというと、私たちは常に何かを受け取っているということです。そしてその人間の経験と知識の泉に何かをお返しができるようなものを作るのは、すばらしい気分です。』いやされー解説：アップルを創設したスティーブ・ジョブス氏。彼はこのような素晴らしい言葉も遺してくれました。人は、絶対に自分一人では生きていけません。仕事をして一人暮らしをしている？　そんなことは「一人で生きている」ことには、なにひとつなりません。誰かが服を作り、ご飯を作り、水を運び、電気をもたらしてくれています。お金を持っていたって、一人では絶対にできません。常に受け取っている。その感謝こそが、今度は周りの人々をも幸福にしていく。そうやってこの世界は出来ているのだと思います。
第28回┃イギリスのことわざ『一日だけ幸せでいたいならば床屋にいけ。一週間だけ幸せでいたいなら車を買え。一か月だけ幸せでいたいなら結婚をしろ。一年だけ幸せでいたいなら家を買え。一生幸せでいたいなら正直でいることだ。』いやされー解説：今回はイギリスのことわざから。確かに床屋などのリラクゼーションを受ければ、その日は気持ちよく過ごせます。車も飽きるまでは楽しいでしょう。結婚は……1カ月を超えて幸せでいられることを祈ります（笑）。持ち家も、その状況が当たり前になってしまうまでは幸せを感じることができます。しかし、これら他のものに依存した「幸せ」には、いずれ終わりがくるのです。では唯一、幸せで居続けることができる方法とはなんなのか。それは己の内面にこそある、ということなのでしょう。自己のありよう、しかも、無理のないありようこそが、穏やかに日常を過ごし続けられる秘訣。そういうことなのでしょう。やってみるとわかりますが、正直な方が本当に楽ちんですよ。私は若い時は自分をよく見せるため、自己の都合を押しとおすため、それこそ妻の機嫌を取るためなど、様々な理由で嘘をついていましたが、ここ数年は辞めました。つじつまを合わせたり、自分を中身以上に見せる必要がないので、本当に楽です。「無理のないありよう」の答えは人様々だとは思いますが、「正直」はひとつの解ですね。
第27回┃マザー・テレサ『今日の最悪の病気はハンセン病でも結核でもなく、自分は不必要な存在だという思いである。』いやされー解説：世界中の誰もが認める聖人であり、そしてなにより愛の人であるマザー・テレサ。現在没後20年を数えますが、彼女の功績はなお輝きを増すばかりです。そんな彼女がきっと嘆いたに違いない“最悪の病”は、「『自分は不必要な存在だ』という思い込み」なのです。かつて、私もこの病を患いました。親に「お前さえいなければ」と、元妻やその親に自分だけがいらないと扱われた私は、自分の命こそが最も不必要だと勘違いしていました。しかし、それは単なる思い込みだったのです。その根本にあるのは「愛されたい」という、利己的でもあり、かつ人間ならどうしようもない欲求でした。しかし、たくさんの人がその後私を必要としてくれました。理由は「私が愛したから」です。そもそも愛情とは、最初に「貰うもの」ではなく、まず、「渡すもの」なのだ、ということに気が付いたのです。愛について私は、自分を中心に根本的に勘違いしていたことに気が付いたのです。それから二度と、私はこの病にかからなくなりました。すると、周りを不幸にすることもなくなったのです。この病は自分の価値をおとしめ、自分に愛情を注いでくれた人たちをおとしめ、そして周りを不幸に巻きこんでいきます。愛の人マザー・テレサにはわかっていたのでしょう。誰もが愛される価値があるということも、この病にかかった人たちがどれほど傷ついていたかということも。
第26回┃ダーウィン『時間を浪費しても何も感じない人は、人生の価値をまだ発見していない。』いやされー解説：ダーウィンの進化論と言えば、誰でも知っていますね。その彼が遺してくれた言葉も、実に含蓄の深いものです。何もせずにだらだら過ごすことも、ときには大事なことがあります。しかし、「今日はいいや、明日やろ」を延々繰り返していたり、いつまでたっても口ばかりで実行しない人は、無意識のうちに「また昨日と同じ明日がくる」と信じているのです。断言できますが、そんなことはありません。ある日突然、平穏な日常は崩れ去ることを私は身を持って知りました。穏やかだけどいつ終わるかわからない日々の連続。それが人生なのです。だからこそ、一日一日というのはとても貴重なものです。もしかしたら、明日世界が変わってしまうかもしれないのですから。そう考えると、平穏無事に生きた今日一日が、とても価値のあるものに見えてきませんか。明日が同じように過ごせたら、それはとても貴重なものであると思えませんか。そしてもし、そんな一日一日の積み重ねで己を研鑽し、自己を高め、人の役に立つことができたのだとしたら。毎日を穏やかに笑顔で過ごし、あなたのいる場所が誰かの居場所になっているのだとしたら。それはとてもとてもすごいことだと思いませんか。
第25回┃斎藤茂太『「できること」が増えるより、「楽しめること」が増えるのが、いい人生。』いやされー解説：精神科医であり、随筆家。「モタさん」の愛称でも親しまれた、斎藤茂太(さいとうしげた)さんのお言葉です。能力や力、権力やお金を追い求めれば、「できること」はたくさん増えるでしょう。しかし、そこに「いい人生」はあるのでしょうか。もちろんできることが増えるのは、「いいこと」なのかもしれません。しかし、そこには常に他者との競争や誰かを仰ぎ見たり、見下したりすることも隣り合わせとなることでしょう。翻って「楽しめること」は全て自分の心の持ちようです。自分の人生に望み、心を有り様を変えて「楽しめること」が増えていくのは、他者をおとしめることなく、ゆったりと穏やかな生活の中でどんどんと自分の人生がよくなっていく、とても「いい人生」と言えるのではないでしょうか。
第24回┃アリストテレス『一羽のツバメが来ても夏にはならないし、一日で夏になることもない。このように、一日もしくは短い時間で人は幸福にも幸運にもなりはしない。』いやされー解説：もし、あなたが今「つらい」と思うことがあるのなら。その原因は今まで歩んできた人生の他者との関わりの中で、少しずつ積まれたもので出来上がってしまったに違いないのです。もし、あなたが今「幸せ」と感じているのなら、それはいろいろなご縁が紡がれて大きな綱のようになってきたものであるはずなのです。少しずつ、１日１日をポジティブに生きていれば、それは必ず後の幸せを紡ぐことでしょう。大きな結果は小さな毎日の積み重ねなのですね。
第23回┃瀬戸内寂聴『あなたは苦しんだ分だけ 愛の深い人に育っているのです』いやされー解説：いやし言葉史上、はじめてご存命の方の言葉を連れてきてしまいました。それほどに、この言葉には魅力があります。私も心からそう思います。あなたの苦しみは無駄なんかではないのです。愛を育てているのですよ。
第22回┃坂本竜馬『夢中で日を過ごしておれば、いつかはわかる時が来る。』いやされー解説：わずか32年に満たない人生なのに、日本という国を動かし、歴史を変えた男、坂本竜馬。彼にあこがれ、尊敬する人は21世紀になった今でも後を絶ちませんが、竜馬はこんな言葉も遺してくれています。人生に迷ったとき、なにか衝撃的な出来事に出遭ってしまったとき、がんばっても結果が出続けないとき。人は苦しいときこそ、考えてしまいます。「どうしてこうなってしまうのか。」「いったいなにがいけないのか。」この考え込む、という作業が、さらに自分を袋小路に追い込んでしまう時があるのです。自分が生きていて、やれることがある。で、あるならば、意味や意義を頭の中で構築しようとするより先に、まず動く。生きる。そうやって日々を過ごしていれば辿りつけることがあるということを、若くして逝ったひとりの青年が我々に語りかけてくれています。
第21回┃ナポレオン・ボナパルト『人生という試合で最も重要なのは、休憩時間の得点である。』いやされー解説：言わずと知れた革命後のフランスの皇帝、ナポレオン。最終的には失脚しますが、一軍人から皇帝となった彼は英雄と呼んで差支えないでしょう。その英雄がこんなことを言ったそうです。これはですね、ずいぶんと規模はちっさくなりますが（笑）、私も身を持って体験しています。20代後半、私は人材派遣会社で全国月間トップの成績を取り、人生で初の役職を持ちました。しかしながらまじめ一辺倒で厳しいだけの当時の私は陰で「鬼軍曹」と揶揄され（後に仲良くなった元部下に聞きました笑）、チームは崩壊寸前。そこで当時の支店長に諭されたのが「お前のチームには飲み会が必要だ。もう仕事はいいから行ってこい」でした。17時から居酒屋でいままでのチーム運営を詫び、ざっくばらんに楽しく腹を割って呑みました。するとその日からチームは結束し、売上目標を達成するに至ったのです。「よく休む」これこそが本当に必要なことです。これは単純に身体を休めるだけではなく、周りの人を含め、しっかりゆっくりそして楽しく休むということですね。これが「結果」を出すのです。総じて人生という長い道のりに於いても、いわんやをや、ということですね。
第20回┃マーク・トウェイン『彼は人を好きになることが好きだった。だから、人々は彼のことを好きだった。』いやされー解説：御存知、『トムソーヤーの冒険』を書いたマーク・トウェインの言葉です。これは私、真理のひとつだと思うんですよね。誰もが「みんなに好かれたい」と一度は考えると思うんです。でも、「好かれたい」という自分の欲求ひとつだけでは、好かれるはずもない。しかし、「あ、この人自分のこと好きでいてくれてるな」と感じることができれば、その人のところに行きますよね。心地いいですもん。初めに「周りを好き」があるから、結果「みんなその人が好き」。人同士の引かれあいって、こうだと思うのです。
第19回┃孔子『止まりさえしなければ、どんなにゆっくりでも進めばよい。』いやされー解説：紀元前500年前後に活躍した中国の思想家、孔子の言葉です。およそ2,500年も前にこれだけ人間の内面を理解していた思想家がいたことは、世界的な財産ですよね。人にはそれぞれ自分の速度があります。誰もが優れた能力を持ちたいとは思っているでしょうが、誰もが天才なわけではない。しかし私たちは、それでいいのではないでしょうか。また人生には迷いもあります。弱気になることもあります。一時的に止まることもあれば、振り返って逃げてしまうこともあるでしょう。しかし永遠に止まり続けるのでなければ、どんなにゆっくりだって、少しずつでも進めれば、それでよいのだと思います。
第18回┃ジョセフ・マーフィー〔その２〕『楽天主義も悲観主義も一つの思考習慣によるものです。楽天家の人生が楽しく、悲観主義者の人生が暗いのは当然です。どちらもそれを望んだからです。』いやされー解説：「第５回でも登場した、ジョセフ・マーフィーの言葉です。楽天家はいつも全てを楽天的に見ている。ですから、どんな悲運が来ても「まぁなんとかなるさ」ぐらいにしか考えません。かたや悲観主義者は幸運が来てもそれを疑ってかかり、「きっとこの後はだめになる」と自分の悲運を望んでしまうのです。実はどちらも、思い通りの人生を歩んでいます。人生とは自分の思った通りになるようにできているのです。実は私も、人を癒すことを望み、自由を望みました。結果、現在その通りの人生を歩んでいます。思いかた一つが、望んだとおりの人生を呼び込む。これがほんとなのですよ。今もって私も不思議なのですが。
第17回┃武者小路実篤〔その２〕『人生はむつかしく解釈するから分からなくなる。』いやされー解説：「今回は前回に引き続き、武者小路実篤の言葉です。先日、ネットで白人の５歳の男の子が母親へ、「友達と同じ髪型にしたい！　先生がどっちがどっちだかわからなくなるよ！」と親友の黒人の男の子と同じ髪型をねだったという、差別の意識など微塵も持っていない子どもたちのピュアな心を伝えたニュースを見ました。それについてあれやこれやとコメントする大人たちがとても滑稽に見えました。知識を持って自分の主張に当てはまるように解釈するから、的外れになっていくのでしょうね。人生はまさに、そういうことなのだと思います。難しく大人の論理であれこれ自分を縛る。結果本当に見なきゃいけない純粋で核となるものが見えなくなる。あるがままをあるがままに受け入れられた時、おのずと道は開けるのでしょう。
第16回┃武者小路実篤『自分の力に合うことだけしろ、その他の事は、おのずと道が開けてくるまで待て。』いやされー解説：「『友情』『愛と死』などが有名な白樺派の文豪、武者小路実篤の言葉です。苦しい時ほど、どうにかしよう、なんとかしようと人は空回りをしてしまうものですよね。私も若い時はそうでした。しかし「待つ」というのも立派な立派な選択肢なんです。待って好転することもあります。少なくとも私にはありました。着の身着のままの等身大の自分で、できうることをする。それでいいんじゃないでしょうかね、人生というのは。
第15回┃ゲーテ『自分自身を信じてみるだけでいい。きっと、生きる道が見えてくる。』いやされー解説：「『若きウェルテルの悩み』などで知られる詩人ゲーテ。彼は多くの恋や人生の壁に悩み、苦しみました。そのゲーテが遺した言葉がこちらです。私たちは生きているというただそれだけで、多くの迷いや選択を突きつけられます。幼いころには無敵に思えた自分も、度重なる失敗や他人からの攻撃によって、どんどんと自信を失っていくこともあるかもしれません。しかし、だからこそ、必要なのは自分を信じることなのです。良くも悪くも、自分の人生にただずっと付き合ってくれるのは自分だけなのです。悩み苦しみ、そんなときこそ、ただひたすらに自分自身を信じてみる。そこに、光が見えてくるのです。
第14回┃アルバート・アインシュタイン『人間性について絶望してはいけません。なぜなら、私たちは人間なのですから』いやされー解説：「天才」と名高いアルバート・アインシュタイン。彼の導き出した「相対性理論」の名前は誰もが知っています。そんな彼だからこそ、その権威や理論を時の権力者に利用されました。原子爆弾開発やイスラエル建国などにも、彼が関わっています。そして当然、その結果が導き出した悲劇は、彼の思惑を大きく超えたものだったでしょう。しかし、それでも彼は「人間」を見捨てたり、あきらめたりはしませんでした。私たちも時に、人に裏切られ、人に傷つけられ、「人間」そのものに不信感を抱き、疑い、そしてあきらめてしまうこともあるかもしれません。しかし、絶望してはならない。そこに対する究極の理由付けを、わずか一文で天才が遺してくれています。なぜなら、私たちは人間なのですから。
第13回┃チャールズ・チャップリン『死と同じように避けられないものがある。それは生きることだ』いやされー解説：「数々の喜劇を演じ、知らないものはいないまでに名声を手に入れたチャップリン。しかし彼の人生は権力者や戦争との戦いでもありました。フィルムには映されない悲しみも苦しみもあったでしょう。ときには、人生そのものに絶望することさえあったのかもしれません。しかしチャップリンは生き続けます。88歳で大往生を遂げるまで、アメリカに永久追放をされながらも生き続けるのです。人生は苦しいことも非常に多い。それは誰もが知っていることです。しかし、生きること、それ自体は「避けることができない」ほど絶対的なものなのです。ならば笑って踏みとどまってみようじゃないか。チャップリンが世界にくれた笑いの力は、そう語りかけてくれるのかもしれませんね。
第12回┃アフリカのことわざ『道に迷うことこそ、道を知ることだ。』いやされー解説：「果たして自分はこのままでいいのだろうか？」人は生きていれば必ずと言っていいほど、一度は己の進むべき道の選択に迷うでしょう。むしろ、一生懸命に生きようとすればするほど、余計に迷うものなのかもしれません。しかし、選択肢は数あれど、自分の人生の道とはやはりただひとつであり、世界で自分だけの物であるのです。だとするなら、道に迷うということそのものが、自分の人生を知る最も近い選択肢なのではないでしょうか。迷い、悩み、考え、苦しむからこそ、自分の能力、自分のやりたいこと、そこに関わる全ての相手のこと、そして感謝が見えてくる。私はそう思うのです。
第11回┃渋沢栄一『一人ひとりに天の使命があり、その天命を楽しんで生きることが、処世上の第一要件である。』いやされー解説：幕末、明治を生き、現みずほ銀行の元となる第一国立銀行の頭取となったり、帝国ホテルやキリンビールなどの企業設立に関わった日本の近代経済の父、渋沢翁。彼はこれだけの要職につき、お金が巡る中心に居ながら、財閥を作らず、弟子にも作らせず、あくまで経済の本質にこだわり、それが生み出す「力」には固執しなかった、誠実な士でした。その彼の残した言葉もまた、虚飾のない真実の言葉です。人はどんな人にも天から与えられた使命がある。生まれ育った環境や場所は選べないのですから、そこに必然を感じるのもまた人間らしいと思います。天からの使命も、環境も、土地も、選べずにそこにどうしようもなくある。人の力でどうにもならないものが確かにある。 　なら、楽しもうじゃないか。 　渋沢翁はそう私たちの背中を押してくれています。つらいこともあるだろう。苦しい時もあるだろう。しかしこの世を渡っていかにゃあならない。なら、楽しもうじゃないか、と。
第10回┃シャルル＝モーリス・ド・タレーラン＝ペリゴール『カフェ、それは悪魔のように黒く、地獄のように熱く、天使のように純粋で、愛のように甘い』いやされー解説：一般に「タレーラン」の名で知られる18世紀の天才外務大臣ですが、その頭脳は言語野も大きく発達していたようです。あのナポレオンの元で外務大臣をやったと思えば、ナポレオン失脚を計画し、今度はルイ18世王制下で外務大臣に返り咲いています。その外交手腕は現代でも「天才」の呼び声が高いそうで、そんな人物がコーヒーにこれだけの情熱を注いでいたかと思うと、人間には、いかに「主務」以外の何者かが必要であるかが浮かび上がってきます。コーヒーが好きでなくても、この一文を読んだらなんだか飲みたくなってきませんか？　何かを好きになることは、それを言葉で表現すること。「人間の性」が滲み出た、とても奥深い名文ですね。
第９回┃西洋のことわざ『三月の風と四月のにわか雨が五月の花をもたらす』いやされー解説：今回のいやし言葉は西洋のことわざです。長く広く言い伝えられるだけあって、実にシンプルに人生を表していますね。ときには強く荒れ狂う風のように、ときには礫のように降る猛烈な雨のように、不幸や事件は何の理由も前触れもなく、我々の人生の真っただ中に吹き荒れます。そのときそのときには、つらい思いもするかもしれません。苦しいこともあるかもしれません。なぜ、どうして、と問わずにはいられないかもしれません。しかし、その不幸や事件から学び、鍛えられ、なんとか乗り切ったそのときには……。さらに豊かな恵みがもたらされることでしょう。これは、単なることわざなどではなく、人生の真実のひとつです。様々な「風」や「雨」をしのいだ今なら、私も自信を持って、「その通りだ」とうなずけます。
第８回┃岡本太郎『人生は意義ある悲劇だ。それで美しいのだ。生き甲斐がある。」いやされー解説：「芸術は、爆発だ！』などの名言を残し、「明日の神話」など、数々の名作を世に遺した芸術家、岡本太郎の言葉です。人は日々人生を生きる中でその意味を問います。「私は何のために生まれてきたのか？」と人生の中で自分に問いただしたことのない人など、よほど夭逝しない限りはいないのではないでしょうか。世に前向きな発言をする人、文献はたくさんあります。しかし、「生きているのがつらい」と日々思っている人たちの心には、ポジティブな言葉はなかなか届くものではありません。そんな方々へ、この言葉を届けたい。もしかしたらあなたの人生はつらく、誰かのためになっていると実感もできず、愛することにも愛されることにも恵まれない人生なのかもしれません。しかし、美しい。それでいいのではないか、と。
第７回┃クララ・ルイーズ・ケロッグ『長生きをしていると、過去はがらくたの詰まった屋根裏みたいになる。探しものをしに屋根裏へ行ってごらんなさい。なんでもあるけど、探してるものだけは見つからないでしょう。』いやされー解説：これは、19世紀のアメリカのオペラ歌手、クララ・ルイーズ・ケロッグの言葉です。現在は「屋根裏」はあまりないですからね、さしずめ、押し入れやクローゼット、といったところでしょうか。過去の経験というのは、それは頼りになるものです。しかし、その経験はあくまでこれからの人生を役立てるからこその経験であって、自分が求めるゴールには成りえないのです。仮に過去にだけすがって生きてみたとしたら、「何かが足りない」と気付くのは自分に他なりません。生の実感は、あくまでも今、そして未来にあるはずです。もちろん、過去は支えや知恵、そして時には懐かしいあたたかな思い出として大事にすべきものではあります。そしてその支えを杖として、今の自分が欲しいものを見つける旅に出るとしましょう。
第６回┃ユダヤのことわざ『嫉妬は1000の目を持っている。しかし何一つ正しくは見えていない。』いやされー解説：こちらは古くからユダヤ人に伝わっていることわざです。起源はわかりません。2016年5月23日に開催したライブイベント『居場所Vol.1』で、対談とビデオジョッキーをやってくださったアーティスト邑姫裳乃（むらぎもの）ひのえさんに教えていただいた言葉です。ヒトという生き物はとかく嫉妬をしやすいもの。すぐに隣人や有名人と自分を比較し、少しでも自分よりも上回っていそうなものがあれば、妬ましさを覚えてしまいます。しかし、それは自分の暗い感情が増幅させた虚像であり、相手や自分を正しく投影しているものでは決してありません。ですから、嫉妬を抱いてしまうまでは仕方がないとしても、その感情はすぐに遠くへ忘れ去ってしまいましょう。また、嫉妬されたところで、何一つとして正しいものはないのですから、気にしすぎるのも損というものです。 「比較する人生」は、自分にも他人にも、楽しいことは何一つありませんよね
第５回┃ジョセフ・マーフィー『幸福な人生を歩んでいる人は、言葉の使い方を知っています。言葉は選んで使いなさい。言葉の選択一つで、人生は明るくも暗くもなるのです。』いやされー解説：20世紀にアメリカで活動した牧師にして思想家のジョセフ・マーフィーの言葉です。日本でいっとき有名になった『マーフィーの法則』とは別の、「J・マーフィーの法則」などの著書を記しました。言霊、という言葉もあるとおり、「魂」に見立てられるほどの見えない力を持っているのが「言葉」です。毎日文句ばっかり言っていたり、ネガティブな発言ばかりしていたり、人の批評ばかりしていたら、それは恐ろしい呪いの力となって、確実にその人は自ら発した負の思想に支配されてしまうでしょう。反対にあいさつや感謝を毎日かかさず言っていたり、「自分ならできる」とか、「私は若くて健康」など、他者に対する心遣いを口にする人には他者からの信頼と助力を、自分を鼓舞する言葉を発すれば自らを支える力を、言葉は与えてくれるでしょう。見えなくても、大きな力を持つ言葉の使い道によって、あなたの将来も形作られていくのです。
第４回┃デモステネス『逃げた者は もう一度戦える』いやされー解説：古代ギリシアの政治家であり弁舌家であった、デモステネス。彼は巨大なマケドニアの支配に対抗するため、何度も敗れては逃げ、立ち上がって抵抗を続けました。人生において、「逃げる」ということは概ね非難されたり悪いことと捉えられがちです。しかし、戦ってばかりでは疲れてしまうのも、折れてしまうのも人間の弱さというもの。弱いからこその人間である私たちは、また戦えるようになるまで逃げてもよいのだ、そんな存在でもあると思うのです。その弱さ故に愛しい存在だと思うのです。
第３回┃相田みつを『毎日毎日の足跡が おのずから人生の答えを出す きれいな足跡には きれいな水がたまる』いやされー解説：『にんげんだもの』で有名な、詩人・相田みつをさんの言葉です。「私はなんのために生まれたの？」と誰もが一度は自分に聞いたことがあると思うのです。しかし、その答えは一生懸命、自分なりに、時に頑張って、時に楽しんで、時に泣き、時に怠け、時に逃げ、時に戦い……そうやって「毎日」が積み重なっていった先の「人生」を生き抜いてこそ、答えが見えてくるのかもしれません。人を出し抜きお金と地位を得た者は、人ではなくお金と地位に囲まれて人生を終えるでしょう。人のために生きた人は、人に囲まれて人生を終えるでしょう。いい悪いではないのだと思います。それがすなわちその人の人生なのですね。何を求めてどう生きていくか……私たちがその時その時望んだものが、やがて最期に結実して姿を表す、それが人生なのでしょうか。私もまだまだ道半ば、答えは知るよしもありませんが……真剣に生き抜いてみたいと思います。
第２回┃スタンダール『人生のほとんどすべての不幸は、自分に関することがらについて、あやまった考え方をするところから生じる。できごとを健全に判断することは、幸福への大きな第一歩である。』いやされー解説：これは、1700年代後半から1800年代半ばまで生きたフランスの小説家の言葉。人は所詮「人」という存在の限界を抜けることはできません。さまざまな出来事に遭うか遭わないかなどは、その範囲の外の外。どうにもできるわけがないのです。 しかしながら、その出来事をどう考えるかについては、私たち「人」であるがゆえにできることなのです。ならばできる事からはじめて、その出来事を受け入れ、意味を考え、消化してゆっくりと幸せに向かっていくことも、また「人」ゆえに、許された行為なのではないでしょうか。
第１回┃ニーチェ『世界には、きみ以外には誰も歩むことのできない唯一の道がある。その道はどこに行き着くのか、と問うてはならない。ひたすら進め。』いやされー解説：疑ってしまう弱さを持つのも人間というものです。しかし、我々には先人がいます。背中をこうも力強く押してくれているのです。ひたすら進め、と。それは川のように曲がりくねり、時には急に流れ、時には行けども行けどもゆるりとしか進まないこともあるでしょう。しかしやがては、あなただけの広い世界――「海」へとたどり着くのでしょう。
いやされーの「いやし言葉」