いやされーの「いやし噺」
このコーナーでは、健康や心について、
みなさんの元気や癒しにつながる話を、
店長たかあきがチョイスしてお届けします。
第十六回 │ 触れ合って癒しあおう
認知症の患者の方に、30cm5秒ぐらいのゆっくりとしたペースで、にこやかになで続けると症状が緩和する、というお話を聞いたことがあります。病気によって低下してしまった認知力でも、人の笑顔と、直接皮膚に触れられることで得られるやさしさはわかるのです。そして、それによって癒されるのです。
人に触れられる、というのは、時としてとても大きな癒しの力となります。
アトピーの子供にこんな治療法があるそうです。お母さんが毎晩寝る前にだっこして「必ずよくなるよ」と暗示をかけると、1週間から2ヶ月で症状が改善するそうです(※1)。触れる、という癒しが認知症以外の皮膚病にすら効果があるということですね。
なぜ、「触れる」という行為にはこれほど大きな癒し効果があるのでしょう。 シャスティン・ウヴネース・モベリによると、肌が触れ合うことで、触れるほうにも触れられるほうにも「オキシトシン」というホルモンが分泌されます(※2)。オキシトシンが分泌されると安心と結びつきを感じることができるのです。触れている方にさえも癒し効果をもたらすのですね。
ある実験で、女子大生二人でペアを作り、ひとりがもう一人の肩に10秒触れた場合、自分自身で肩に10秒触れた場合でのそれぞれの不安感を測定しました。すると、誰かに触れられた場合のみ、不安感が優位に低下することがわかりました(※1)。異性や親子のみならず、触れる、触れられるというのはとても大きな癒しをもたらすのです。
人間生きていれば、どうしようもなく傷つくとき、寂しいとき、不安なときはやってきます。そんなときは心を許せる人間と触れ合うことで、お互いに癒しを感じてみてはいかがでしょうか。
【参考文献】
※1『皮膚感覚-皮膚と心の身体心理学』 山口 創 桜美林大学
※2『広島国際大学 第19回看護学部公開講座「ベビーマッサージで親子のスキンシップ」』
入江 寿美代, 岡島 文恵, 山本 洋美