いやされーの「いやし噺」

このコーナーでは、健康や心について、
みなさんの元気や癒しにつながる話を、
店長たかあきがチョイスしてお届けします。

第十一回 │ 『許す』には、まず自分を許すところから

カテゴリ:こころ

 「許す」という行為は、大変難しいものです。

 人間生きていれば、誰かに裏切られたり傷つけられたりされた経験を持ちあわせていることでしょう。なんだか生きてるだけでそうなっちゃうのもちょっと悲しいですが、それもまた人間ということなのでしょうね。

 そこで、自分を傷つけた相手に対して、多くの人はネガティブな感情を持ちます。「嫌う」、「怒る」、「憎む」……それはなぜかと問われれば、「許せないから」です。

 しかし、ネガティブな感情は回りまわって自分をさらに傷つけてしまいます。嫌な記憶は思い出すたびに自分を嫌な気持ちへ引き戻してしまいますし、思いだせば思い出すほど、シナプスの繋がりが強固になって忘れられなくなるという負の連鎖に陥ります。

 誰かが嫌な気分でいれば当然周りにも被害が及びます。いい気分でいるときと、嫌な気分でいるとき。ささいな仕事仲間のミスを「許せる」のはどちらの気分のときでしょう?

 つまり、「許す」という行為は、自分も周りの誰かさえも幸せにするのです。

 そうはいっても、許すことなんて、そう簡単に出来ていれば世話はありませんよね。でも実は、「許す」というのははじめの一歩を踏み出した状態であって、最終的なゴールではないんです。多くの研究者は、「許し」を「変化」だと定義しています(※1)。憎しみや怒りから自分を解き放つきっかけ。それが「許し」なのです。いきなり最終的なゴールを目指す高難易度の技ではなく、自分が変わるためのきっかけなのですね。学術的にも「許し」と「和解」は違うものとして捉えられています(※1)。まず、許すところから、全ては始まるわけですね。

 そして、許すためのヒントがありました。「許す」とは、つまり自分を傷つけた他人を受け入れることだと思うのですが、成人1695人を対象としたある調査では、他人を受け入れやすい人は、まず自分を受け入れているというのです。そしてその上で、人生に目的を持ち、活気を持って生きている人が、他者を受け入れる傾向にあるという結果が出たのです(※2)。

 なぜなのでしょう? それについて研究者たちはこう考えています。自己受容性は、他者を自己と同一視する機能を持っているのではないか、そのために自己と同じように他者を受け入れるのではないか、あるいは、自己受容をしている人は、自己の探求から解放され、意識を他者に向けることができるのではないか、などです(※3)。

 そう言われると確かに私も、ありのままの自分を受け入れてから、家庭機能不全を作り出した自分の両親や、いろいろなものを許せるようになったように思います。自分を受け入れる。「許し」のさらに手前、スタートラインに立つためには、自分を受け入れることが大事なのですね。

 では自分を受け入れるためにはどうすればいいのか。方法はいくつかあると思います。運動をしたり、勉強して知識をつけたりして、自分そのものに自信を持つ。理想に近い仕事環境を作り出して穏やかな暮らしを続ける。尊敬の出来る異性や仲間と絆を持つことによってその信頼関係を築けた自分を肯定する……などなど。

 しかし、上記は一朝一夕で出来るものでもありません。

 そこで私が進めたいのは、なにか嫌なことが起きた時、嫌な記憶を思い出した時に、
「ま、いっか」と独り言をつぶやくことです。

 脳内ではどうしようもなく嫌な記憶がよみがえります。それを物理的に音を出して自分に思いこませることで、意識をポジティブな方向に持っていくわけですね。

 「しゃあないしゃあない(『しょうがないしょうがない』の意)」「次がある、大丈夫」なども効果的です。はい、そうです。私は既に実践しています。

 これなら気楽にできません? 意外と効きます。まずはここから、いかがでしょうか、「許す」こと。


【参考文献】
 ※1「許し尺度作成の試み」 加藤 司 谷口 弘一
   『教育心理学研究』2009,57,158-167
 ※2「対人関係性の視点による生き方態度の発達的研究」 高井 範子
   『教育心理学研究』1999,47,317-327
 ※3「自己受容性と対人態度との関わりについて」 板津 裕己
    Japanese Journal of Educational Psychology, 1994, 42, 86-94


第十回 │ 気分に合わせて音楽を聴こう!
第十二回 │ コンプレックスは信頼できる人と一緒に越えていこう
会社概要プライバシーポリシー特定商取引法に基づく表記本ページの利用について

Copyright © 2014-2017 IYASARE Inc. All rights reserved.

ページトップへ