いやされーの「いやし噺」

このコーナーでは、健康や心について、
みなさんの元気や癒しにつながる話を、
店長たかあきがチョイスしてお届けします。

第九回 │ 『つながらない時間』を作ろう!

カテゴリ:こころ

 「SNS疲れ」という言葉を御存知でしょうか? LINEやTwitter、Facebookやmixiなどのソーシャルネットワーキングサービスの活用によって、疲労感などネガティブな感情や働きを受けてしまうことの総称です。近年メディアによって取り上げられてきたこの言葉は、10年前は「mixi疲れ」などと呼ばれ、やはり問題となっていました。SNSのようなサービスを活用すると、人間にはどうしようもなく起きてしまうような、根源的な問題なのです。

 人間の欲求のひとつに「承認的欲求」というものがあります。要するに他の誰かに認められたい、という欲求ですね。「認知」という活動を後天的に覚えるからこそ生まれる後天的な欲求とされていますが、人間は生きていれば必ずこの欲求を抱えるものではないでしょうか。食欲などの原始的欲求とはまた違いますが、人間という種の、根源的な欲求のひとつではないかと私は考えています。

 SNSはそれを多いに満たします。夜、ひとりでぽつんと部屋にいるときでも、近日中に起きたイベントなどを写真付きで投稿すれば、誰かが「いいね!」やコメントを記してくれます。部屋に居ながらにして別の空間にいる他社が自分を認識してくれるわけですね。これは現代科学がもたらした、「恩恵」の一つと言えるでしょう。一人でも誰かと「つながる」疑似体験がようにできるのです。

 しかし、この「恩恵」には穴があるのです。

 「みんなのボイスとかすごいことになってて。全部見きれないし。そういうので、『あーっ』て思っちゃったりしますね。疲れたっていうか、目にもくるし」

 『「SNS疲れ」に繋がるネガティブ経験の実態』によると、被験者のひとりはこのようにコメントしています。「つながっている友達」の全フォローはさすがにできないわけですね。あまりの倦怠感に、もはや言葉になっていません。

 このように、受信者側の人間がストレスを感じる場合があります。例えば全ての友人の投稿に「いいね!」を押さなくてはならない、といった義務感です。しかし現実世界でもつながっているために、「いいね!」しないわけにもいかない。そこにさらなるストレスが生まれます。やがて、「スルーしてもいいや」という投稿はほっとかれるわけです。

 すると、今度は発信者にもストレスが生じます。投稿して1時間が経ってもだれも「いいね!」をしない……承認的欲求は満たされず、暇を見てはSNSをいじってまた落胆をする……依存度の高い方は、その繰り返しとストレスでどんどん現実社会での時間さえも失っていきます。

 総務省がまとめた「高校生のスマートフォン・アプリ利用と ネット依存傾向に関する調査 <速 報>」によると、高校生の6割がSNSの使用でストレスを抱えており、さらに全体の40%、依存度の高い人間の実に74%がスマホの使い過ぎで睡眠時間を減らしています。全体の9.5%、依存度の高い人間の39.8%が「ネットの使い過ぎで健康状態が悪化した」と答えています。そして全体のスマホを扱う時間の57.3%がSNSを扱う時間なのです。依存度の高い方は実に113%と、もう多すぎて統計手法を数字が超越してしまっているのです。

 ネオマーケティング社が2013年1月に行った「SNS利用者の本音調査」でも、やはり利用者の6割が不満を持っています。若者に限らず、この傾向は全体で変わらないわけですね。

 しかしながら、現実世界との兼ね合いを考えると容易に止められない、というのもSNSの怖いところでしょう。「ストレス」と「止められない」の悪循環でどんどんと心も体も疲弊していく。「SNS疲れ」にはそんな恐ろしい側面があります。うつ病に至ってしまう場合さえあるのです。

 そこで、我々に必要なのは「ソーシャルデトックス」です。SNSと「つながらない時間」を作り、ストレスを吐き出してしまうわけですね。

 いやされーからは夜には必ずスマホの電源を切る、週に1回はSNSに関わらない日、もしくは数時間を作る、ということを御提案します。例えば「つながらない」事で誰かに何かを言われたら、「森林浴に行って癒されててさ。あ、そこ電波つながらなかった」と言えばそれでいいじゃないですか? 「1日1回電源切らないとパソコンはスマホと同じで壊れるって言われたから」と、受け流せばいいじゃないですか?

 SNSで義務を果たさないと成り立たない現実世界のコミュニティなど、そもそもあなたに本当に必要なのですか? もう一度考えてほしいのです。そして、何よりあなたの心と体を大事にしてほしいのです。


【参考文献】
『「SNS疲れ」に繋がるネガティブ経験の実態―高校生15名への面接結果に基づいて』
 青少年とインターネットについて考える会 加藤千枝 (社会情報学 第2巻1号 2013)

『高校生のスマートフォン・アプリ利用と ネット依存傾向に関する調査 <速 報>』
 平成26年5月 総務省情報通信政策研究所

「SNSに6割が不満―SNS疲れには『ソーシャルデトックス』が必要」
 CNET JAPAN
  http://japan.cnet.com/news/society/35027397/


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