いやされーの「いやし噺」
このコーナーでは、健康や心について、
みなさんの元気や癒しにつながる話を、
店長たかあきがチョイスしてお届けします。
第七回 │ 相談しよう、そうしよ?
生きている。それだけで私は、すごいことだと思うんです。どんな人も楽しいだけの人生なんてありえない。そこには必ず、悩みがつきまといます。しかしそれでも、解決し、乗り越え、楽しかったり、おだやかだったりする心を手に入れる。それはとてもすごいことだと思うのです。
しかしながら、なかなか悩みが解決しないことも多々あります。そんな時、みなさんはどうしていますか? 中には自分の中や家族の中だけで抱え込み、悶々とされている方もいるのではないでしょうか。
確かに、相談には勇気が必要です。自分の弱みをさらすことになりますし、他人に秘密を守ってもらう確信もないかもしれません。ですが、私は、まず悩んだら自分だけで我慢せず、家族の中だけで耐えようとせず、誰かに相談をすることをお勧めしたいのです。
例えば、ストレスの高い仕事のひとつに看護師があります。看護師は「バーンアウト」(「長期にわたり人に援助する過程で心的エネルギーが絶えず過度に要求された結果、極度の心身の疲労と感情の枯渇を伴う症候群」と定義される状態)に陥りやすく、それを回避することが職場全体に求められています。ある研究では、職場に相談相手がいる看護師は、職場外にしか相談相手がいない、もしくは全く相談相手がいない看護師に比べて、ストレスが低いという結果が出ています(※1)。事情がわかる人に相談する、というのは特に仕事関係の悩みでの相談に効果が発揮されるようですね。
しかし、なにも事情通や専門家だけが最も適した相談相手、というわけではないようです。イギリスのいのちの電話の創始者であるチャド・バラー氏は、「自殺予防の決め手となるのは素人のボランティアによるbefriending(友達となること)である」と述べています(※2)。素人の方が垣根が低く、結果効力があるというケースもあるわけですね。
このように、その悩みに適した相談相手を探す、という努力さえすれば、相談がいい結果を生んでくれるはずです。現在はネットなどで匿名性の高い相談も無料で可能となっています。ひとりや家族だけで悩まず、まずは相談をしてみませんか? 私も性格上数十人の相談相手になってきましたが、みな、話すだけでも楽になっていたようですよ。私も困った時はこまめに相談しています。
最後に、内閣府のホームページから「こころの健康相談統一ダイヤル」をご紹介しておきます。
TEL : 0570-064-556
URL : http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/link/soudan.html
困ったら、誰かに相談してみましょう? なにもあなた一人が苦しむ必要はないんですよ。
【参考文献】
※1 「看護師のバーンアウトとサポート源の関連に関する研究」
贄川信幸 松田修 『こころの健康』Vol.20
※2 「地域精神衛生活動としての電話相談― いのちの電話と自殺防止」
斎藤友紀雄 『こころの健康』Vol.1 Vol.2