いやされーの「いやし噺」
このコーナーでは、健康や心について、
みなさんの元気や癒しにつながる話を、
店長たかあきがチョイスしてお届けします。
第四回 │ 泣いて心を癒す
お久しぶりになってしまいました! 約2か月ぶりにいやし噺です! 今回のテーマは「泣く」です。
「涙活」、「泣語」という言葉を最近目にすることも多くなってきましたね。前者は「積極的に泣こう」という活動、後者は泣ける講壇といったところでしょうか。ともに目的はシンプルです。「泣くこと」ですね。
涙を流すことは、最近とみに注目されています。ストレスを著しく軽減させるからですね。しかし、日本は特に感情を抑制することを美徳と考える文化を背負っている民族なので、なかなか人前で悔しかったり悲しかったりしても泣けません。理性が勝ってしまうのです。
ですが、そのほうがかえってストレスが溜まってしまうのは、感覚的になんとなくみなさんお分かりになられるでしょうね。
そう、「泣くこと」と「ストレス」というのは非常に密接な関係があります。でも、簡単には泣けない。じゃあ、「笑う」じゃだめなの? そう考える方もいらっしゃるでしょう。
こんな実験があります。あるグループに「泣きのビデオ」、「恐怖のビデオ」、「笑いのビデオ」を30分ずつ見せて、脳の活動を定量的に評価し、かつ心理テストからどのように心のありようが変化したかを見ようとしたものです。
まず「泣きのビデオ」の後では、緊張、混乱や不安といったスコアが軽減しました。すっきりしたのですね。ネガティブな感情がリセットされたようです。次に「恐怖のビデオ」では脳の血流が低下し、まさに「血の気が引いた」ようです。さらに疲労感、緊張、不安、怒りなどが増えました。そして「笑いのビデオ」では、混乱や不安が減少するのではなく、活力が増加しました。つまり、リセット効果ではなくて、元気になったのです。
このことから、「笑い」というのは非常に重要ですが、ストレス軽減とはまた別の意味あいをもっているようです。やはり、緊張や不安を減らすのには「泣く」が重要ですね。
しかし、なかなか泣ける場所がない。こういう現代の日本ですから、「涙活」や「泣語」といった新しいカルチャーが生まれるのでしょうね。
泣くための活動に積極的になるのは億劫だけど、取り立てて日常に泣ける場所がない……という方も、ぜひ泣ける場所を確保してみてはいかがでしょうか。とりわけ悔しいいことや悲しいがあったその日は、ぜひゆっくりと入浴をして、ひとりお風呂で泣いてみるのもお勧めしますよ。あなたのその戦いを、ぜひ労ってあげてくださいね。
【参考文献】
「涙とストレス緩和」有田 秀穂 『日薬理誌』(Folia Pharmacol. Jpn.)129,99~103(2007)